関 西 支 部

 日本材料学会に関西支部が設置されたのは,本学会が日本材料試験協会として創設された日と同じく,1952531日であり,関西支部も本年5月に創立50周年を迎えたことになる。

 当支部の事務所は,設立当時は本部内に置かれていたが,本学会が日本材料学会と名称を変えた翌年の19646月に大阪科学技術センター内に移り,会員に密着した支部活動を行ってきた。しかしながら,1973年秋の石油ショックは,支部活動に手痛い打撃を与え,外部に事務所を構える財政的見通しがたたなくなり,19784月再び事務所を本部内に戻し現在に至っている。事務を本部に委託してはいるが,本部と連携を計りながら,常に地域との関連を念頭においた支部活動を展開している。

 現在の活動状況は,年1回の総会および6回の常議員会に加えて,表1に示すように、それぞれ年12回の講習会,材料シンポジウム,材料フォーラム,勉強会(特別講演会),年45回の見学会などを行っている。

「講習会」は基礎的事項から最新のトピックスまでの広い範囲でテーマを設定し,実施しているが,なかには継続性をもたせ,企業の若手技術者,研究者あるいは大学院生の教育に一役かっているものもある。例えば「破壊力学とその応用に関する講習会」は日本機械学会関西支部と交互に分担しながら毎年実施しており,すでに当支部担当分でも16回を数えている。1990年度からは実習を加え,より具体的な講習会となるよう工夫が凝らされている。41期から50期の講習会のタイトルを表2に示す。

「材料シンポジウム」は,第32(1983)に新しい調査研究活動の一環として企画されたもので,新しい材料の研究に重点をおく集会事業として続けられてきている。最初のテーマは「材料評価について考える」というシリーズを取り上げ,第3335期にわたり4回に分けて開催された。ついで「材料の新しい機能性に挑む」の主題のもとに,第3637期に4回実施された。第3839期は「材料の最先端加工技術にせまる」というシリーズをとりあげ,第40期には「自動車の軽量化を支える新材料・新技術」というテーマで,材料,設計,評価の総合化をめざした材料シンポジウムがもたれた。41期から50期の材料シンポジウムのタイトルを表3に示す。いずれのシンポジウムも講師からの興味ある話題提供があり,参加者からの活発な討論も含め,技術交流,情報交換の場として大いに貢献している。

 「材料フォーラム」も,第32(1983)に材料の最新情報の討論・交換・解説に重点をおいた新しい集会事業として企画され,第33期より発足した。テーマとしては「材料特性の極限を考える:6回」と「各種製品におけるプロセス技術の進歩と材料:6回」を取り上げ,好評のうちに第3336期の4年間で完結した。第37期以降は新しいテーマとして「我が社の新材料・新技術を語る」と題するシリーズを取り上げ,技術資料・カタログの配布やサンプルの回覧を交えながら紹介していただいている。41期から50期の材料フォーラムのタイトルを表4に示す。本企画は,具体例を取り扱っているため,専門家はもちろん特にそのテーマを専門としない会員にとっても理解しやすく,学際研究をはじめ産学協同や異種業種間の技術交流に役立つと評価されている。

 学生など主として若手研究者向けに開催する勉強会、あるいは特別講演会なども必要に応じて開催しているが近年はやや低調である。

「見学会」はまさに地域に密着した行事であり,関西を中心とする地域内で,興味深い産,官,学の施設や技術を見学するとともに,時には関連する技術講演を取入れ,情報交換の実を上げるように配慮している。

 学会活動の第一の目的が,対象とする専門分野の学術ならびに技術の進歩・発展をはかることにあることはいうまでもないが,得られた進歩・発展の結果を普及し,また,専門を同じくするあるいは異種業種の研究者・技術者間の技術交流と情報交換の場を設けることもそれに劣らず重要である。関西支部の活動はこのような考えのもと,主として関西支部会員を対象としたサービスとして,上記のような活動を展開している。会員の皆様のご理解と,ご協力のもとに,会員の要求に応える地域の特徴を活かした支部活動を今後も展開いたします。

 

1 主要事業の記録

年度・期

講習会

材料シンポジウム

材料フォーラム

勉強会

(特別講演会)

見学会

合計

01年度第50

1

2

2

(1)

4

10

00年度第49

2

1

2

0

4

9

99年度第48

2

1

2

0

5

10

98年度第47

2

2

0

0

5

9

97年度第46

2

1

1

2

4

10

96年度第45

0

1

2

1

5

9

95年度第44

3

0

2

1

4

10

94年度第43

0

1

1

1

5

8

93年度第42

1

1

1

1(1)

5

10

92年度第41

1

1

0

(1)

4

7

表2 講習会

01年度第50

@最近の破壊力学とその応用(実習付,修了証発行)

00年度第49

@最近の非破壊検査の評価法に関する講習会(実習付)

A鉛フリーはんだの基礎と開発の現状に関する講習会

99年度第48

@最近の破壊力学とその応用に関する講習会

A最新の表面構造分析法に関する講習会(実習付,資料持ち込み可)

98年度第47

@最近の非破壊検査の評価法に関する講習会(実習付)(共催)

A最新コンクリート技術−高性能・資源の有効利用をめざして

97年度第46

@最近の破壊力学とその応用に関する講習会(実習付)

A役立てよう!コンピュータシミュレーション

96年度第45

なし

95年度第44

@最近の破壊力学とその応用に関する講習会(実習付)

A役立てよう!コンピュータ・シミュレーション

Bコンクリート構造物のメンテナンスA to Z

94年度第43

なし

93年度第42

@役立てよう!コンピュータ・シミュレーション

92年度第41

@最近の破壊力学とその応用に関する講習会

表3 材料シンポジウム

01年度第50

@コンクリート構造物の性能保証−持続可能な経済発展を支えるコンクリート技術の確立をめざして−

A正確な衝撃強度評価は困難か?−原理からその可能性に迫れば解決できる!

00年度第49

@21世紀を支えるバイオマテリアルの現状と未来

99年度第48

@環境マネージメントシステムISO14000

98年度第47

@複合材料の新展開と界面の諸問題

A各種材料のリサイクル及びライフサイクルアセスメント

97年度第46

@マイクロマテリアルの創製とその評価

96年度第45

@光情報・エレクトロニクスの高分子材料

95年度第44

なし

94年度第43

@実験計測技術の最先端

93年度第42

@表面改質技術における最近の進歩と課題

92年度第41

@ここまできたレア・アースを含む先端工業材料

4 材料フォーラム

01年度第50

@工業用繊維とテキスタイルの温故知新

Aデジタルイメージベース・エンジニヤリング

00年度第49

@超塑性の基礎と応用

A関西支部キッズプロジェクト 先取り風おもしろ材料学ばなし

99年度第48

@量子材料学の基礎と電子状態計算の講習(実習付)

A新しい機能材料:光触媒

98年度第47

なし

97年度第46

@コンクリート構造物の耐震補強に関する新材料,新工法

96年度第45

@生体・環境適合材料の開発動向(バイオマテリアル・エコマテリアルの将来)

Aセラミックスの多機能化とエレクトロニクス分野への応用

95年度第44

@オプト材料

A電波吸収材・シールド材

94年度第43

@プラスチック系材料のリサイクル技術

93年度第42

@リサイクル

92年度第41

なし